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南柯そう/仲村のなんとかその日暮らしログ

映画「BAD LANDS」を見てきたよ

映画「BAD LANDS」を見てきたよ

なんだか原田監督作品を毎年見てるような気がするぞと思ったら、ほんとに毎年公開されてた。いずれも結構な大作映画揃いと思いますが、ハイペースだな〜。

特殊詐欺グループいわゆる「オレオレ詐欺」を繰り返す犯罪グループに加担する姉と、刑務所上がりの弟を主人公とするピカレスクドラマ。

序盤で展開される詐欺グループの手口の巧妙さ、複雑さが、悪いことだってわかってるんだが「詐欺するのも大変なんだな…」と思わずにはいられないリアリティがあって引き込まれます。

加担する人たちも作中からして「最底辺の人間」と言われてる人たちですが、そこにはさまざまな個性があり、理性も、良心も、その人なりの義もあって、その中で生活をしている。悪人であることは間違い無いのに、キャラクターとしての魅力が発揮されてて目が離せない。どうしても情を寄せてしまう。上手いわ〜。

原田監督作品というと、独特の長台詞をかなり早口で言わせるため聞き取りがギリギリな時もあるんですが、今回はみんな関西弁という元々早い言語なもんで、それこそ漫才を聴いているようなテンポの良さがありました。まあ言われてるのはすっごい悪党談義だったりするが。

最底辺ながらに穏やかな生活と、一歩先には地獄が垣間見える社会。徐々に破滅に向かっていく姉弟のいく先に、思わずハラハラ見てしまって最後まで楽しめました。

そして本作、たぶんかなり大きく展開されている「娯楽作」の扱いだと思うし、実際とってもエンタメしてますが、内容はまさに今の日本を切り取った社会派エンタメでした。

詐欺グループが根城とするビルの壁にも、主人公を傷つけた過去にも、いずれも「金」を史上とする価値観がべったり見える。そしてそれらの背後には現代日本の政界が見える。

すぐにオマージュ元のわかる実際の政界スキャンダルを堂々と作劇に盛り込んでいるのは、やはり「この社会がこういう形をしている理由」を、作り手自身がはっきりとそこに見出しているからなのだろうと思います。

多くの人に見られてほしいなと思います。
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