映画「果てしなきスカーレット」をみてきたよ 映画「果てしなきスカーレット」をみてきたよ 「は」てしなきすかー「れっと」⇒「ハムレット」ってこと!? と鑑賞後に気づき、どーしても人に言いたくなったのでいま緊急でこれ書いています。ついでに感想も書きます。 https://scarlet-movie.jp/ 父を殺され復讐鬼と化した主人公スカーレットが、仇である叔父から返り討ちにあってなお、それでもまだ復讐を遂げたい一心で「死者の国」を駆け巡るというストーリー。 Jin Kimさんデザインの、ディズニーアニメだったら「生命力」の証であろう力強いキラキラした目の女性が、眼光鋭くギラついた目つきになり、ほつれた髪に煤けた真っ黒な顔で荒野を駆け巡る予告編をみて「みたーい」と思ってすぐさまみてきました。このデザインと世界観だけで割ともう元は取ったなあと思っています。 シェイクスピアの「ハムレット」をベースに血と泥にまみれた時代劇かつ復讐劇なので、画面は暗く、おどろおどろしい描写も多い。あと展開が舞台や時代劇特有のノリというか端折り方をよくするので、飲み込みやすい展開を期待すると辛いかも。小さいお子さんと一緒に見るには難しいだろうな。 とはいえ、メッセージ自体は「死がすぐそこにある世界の中でも、善く生きたい」をシンプルにつきつけてくる。それはもう直球でつきつけてくる。 重厚感のあるルックに、細田監督が得意とするエモーショナルな心理描写、びっくりするほどまっすぐなストーリーテリングに、画面をみていて飽きることはないんですが、常にもう一フックほしいという気持ちもちょっとある。 なんというか、セリフ量のわりに展開に予備動作が少なすぎて、話の起伏が大きくなりすぎにすーっと流れすぎちゃうというか。個々のエピソードもパンチ力が弱く思えて、結果クライマックスの起伏も気持ちが上がりきらないところがある。 復讐心にかられて獣のように生きてきたスカーレットが、死者の国に降り立ち、時空も文化も超えて集まる死者たちとの交流を通して、人間性を獲得していく……それはわかる。鑑賞後に振り返ってみたけれど、説明不足や展開不足とも違う気がして。 語るべきことは語っているし、この展開でやるべき展開はちゃんと踏んでいる。内容に不足があったとも思わないんですよね。 ただ、昔「おおかみこどもの雨と雪」が封切りされたころ、ある知人が「脚本上にのちの展開を見据えた前振りが少なくて、各エピソードの落ちが弱く感じる」と評していましたのを思い出しました。 ちなみに、別の知人はそれを受けて「それをすればより脚本を『丸く』できるだろうけど、やらないこと選んでる人だと思う」とも評してて、どちらの意見にも強い納得があってよく覚えています。 そういう作劇上のフックを増やすと、より感情的に盛り上げたり、説明がわかりやすくなったりするけども、そこの風通りの良さは求めてない気がするんですよね。 世間的には「家族で楽しく見れる作家性」のように受け取られているけれど、実際のところアーティスティックで少し突き放した世界観だけど、それでも強く魅せることに長けている作家性だよねえと。近年はその傾向がより強かったですが、今作ではそれがよりむき出しできたのかなと。 あと、細田監督恒例の「今が旬の男性俳優にこういう役やらせたーーーーい!!!!」もしっかり浴びれたのでよかったです。岡田将生にこういう役やってほしいよね~~~わかる~~~ってなった。 自分は世間で言われるほど「女性に魅力がない」とは思わないというか、「こういう男を生かすには、こういう人間がそばいるといい」と理解したうえで描いてる人だと思うので、女性キャラも十分に描いている人に思える。作品によっては「そのポジションは別にいつも女性とは限らない」はあるけども、配置する以上は魅力的に描いている人だよなと思っています。 むしろ「魅力的な男性キャラ」とは「魅力」が前に出すぎて案外と内面的に掘り下げられてない、物語の駆動のためにいるキャラになりがち……ということも、本作を見ていて感じたところです。 思うところはいっぱいあるんですが、主人公スカーレットが赤い髪をなびかせて、煤けた荒野で、雷降りしきる曇天の下で、鋭くとがった雪山で、復讐の炎を胸に、時空を超えた人々が集まる死者の国で、何を得るのか。 本作は、ある側面では主人公の内面的葛藤、一人芝居だったとも取れる内容だし、それでなくとも死者の国というシステムがtheファンタジー空間なわけで。客観的な筋道の整理は意図して省いてるんじゃあないかと思います。 どんだけ自分が苦しんで、葛藤しても、生涯の目標なんて自分と関係なく無くなってしまうことがある。じゃあ自分はどうすればいいのか。 生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ。 ハムレットでは「復讐を遂げるべきか」という文脈で語られた言葉が、果てしなきスカーレットではどう使われているのか、という点は非常に興味深く思えました。 その世界観だけでかなりぐっと引き込まれたので自分は満足でした。 映画 2025/11/23(Sun) 20:34:31
「は」てしなきすかー「れっと」⇒「ハムレット」ってこと!? と鑑賞後に気づき、どーしても人に言いたくなったのでいま緊急でこれ書いています。ついでに感想も書きます。
https://scarlet-movie.jp/
父を殺され復讐鬼と化した主人公スカーレットが、仇である叔父から返り討ちにあってなお、それでもまだ復讐を遂げたい一心で「死者の国」を駆け巡るというストーリー。
Jin Kimさんデザインの、ディズニーアニメだったら「生命力」の証であろう力強いキラキラした目の女性が、眼光鋭くギラついた目つきになり、ほつれた髪に煤けた真っ黒な顔で荒野を駆け巡る予告編をみて「みたーい」と思ってすぐさまみてきました。このデザインと世界観だけで割ともう元は取ったなあと思っています。
シェイクスピアの「ハムレット」をベースに血と泥にまみれた時代劇かつ復讐劇なので、画面は暗く、おどろおどろしい描写も多い。あと展開が舞台や時代劇特有のノリというか端折り方をよくするので、飲み込みやすい展開を期待すると辛いかも。小さいお子さんと一緒に見るには難しいだろうな。
とはいえ、メッセージ自体は「死がすぐそこにある世界の中でも、善く生きたい」をシンプルにつきつけてくる。それはもう直球でつきつけてくる。
重厚感のあるルックに、細田監督が得意とするエモーショナルな心理描写、びっくりするほどまっすぐなストーリーテリングに、画面をみていて飽きることはないんですが、常にもう一フックほしいという気持ちもちょっとある。
なんというか、セリフ量のわりに展開に予備動作が少なすぎて、話の起伏が大きくなりすぎにすーっと流れすぎちゃうというか。個々のエピソードもパンチ力が弱く思えて、結果クライマックスの起伏も気持ちが上がりきらないところがある。
復讐心にかられて獣のように生きてきたスカーレットが、死者の国に降り立ち、時空も文化も超えて集まる死者たちとの交流を通して、人間性を獲得していく……それはわかる。鑑賞後に振り返ってみたけれど、説明不足や展開不足とも違う気がして。
語るべきことは語っているし、この展開でやるべき展開はちゃんと踏んでいる。内容に不足があったとも思わないんですよね。
ただ、昔「おおかみこどもの雨と雪」が封切りされたころ、ある知人が「脚本上にのちの展開を見据えた前振りが少なくて、各エピソードの落ちが弱く感じる」と評していましたのを思い出しました。
ちなみに、別の知人はそれを受けて「それをすればより脚本を『丸く』できるだろうけど、やらないこと選んでる人だと思う」とも評してて、どちらの意見にも強い納得があってよく覚えています。
そういう作劇上のフックを増やすと、より感情的に盛り上げたり、説明がわかりやすくなったりするけども、そこの風通りの良さは求めてない気がするんですよね。
世間的には「家族で楽しく見れる作家性」のように受け取られているけれど、実際のところアーティスティックで少し突き放した世界観だけど、それでも強く魅せることに長けている作家性だよねえと。近年はその傾向がより強かったですが、今作ではそれがよりむき出しできたのかなと。
あと、細田監督恒例の「今が旬の男性俳優にこういう役やらせたーーーーい!!!!」もしっかり浴びれたのでよかったです。岡田将生にこういう役やってほしいよね~~~わかる~~~ってなった。
自分は世間で言われるほど「女性に魅力がない」とは思わないというか、「こういう男を生かすには、こういう人間がそばいるといい」と理解したうえで描いてる人だと思うので、女性キャラも十分に描いている人に思える。作品によっては「そのポジションは別にいつも女性とは限らない」はあるけども、配置する以上は魅力的に描いている人だよなと思っています。
むしろ「魅力的な男性キャラ」とは「魅力」が前に出すぎて案外と内面的に掘り下げられてない、物語の駆動のためにいるキャラになりがち……ということも、本作を見ていて感じたところです。
思うところはいっぱいあるんですが、主人公スカーレットが赤い髪をなびかせて、煤けた荒野で、雷降りしきる曇天の下で、鋭くとがった雪山で、復讐の炎を胸に、時空を超えた人々が集まる死者の国で、何を得るのか。
本作は、ある側面では主人公の内面的葛藤、一人芝居だったとも取れる内容だし、それでなくとも死者の国というシステムがtheファンタジー空間なわけで。客観的な筋道の整理は意図して省いてるんじゃあないかと思います。
どんだけ自分が苦しんで、葛藤しても、生涯の目標なんて自分と関係なく無くなってしまうことがある。じゃあ自分はどうすればいいのか。
生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ。
ハムレットでは「復讐を遂げるべきか」という文脈で語られた言葉が、果てしなきスカーレットではどう使われているのか、という点は非常に興味深く思えました。
その世界観だけでかなりぐっと引き込まれたので自分は満足でした。