この絵の作画の過程と考えてたことをメモしていきます。
基本情報
- 概要
- 自前の創作マンガ「徒花の妖精姫」より主人公クルス
- イラストリクエストで作成
- 主な使用画材
- 透明水彩
- ウィンザー&ニュートン プロフェッショナル紙(旧版)
- クリップスタジオ(線画作成)
- インクジェットプリンター(線画印刷)
作画過程
前提として、対象キャラは著者が時々出してる創作漫画の登場人物です。
この画像の奥の人。
ウェブで読める漫画もあるのでよろしくね!
ラフ~線画作成
描き始めたのが12月だったので「冬服着せよう」が最初のコンセプト。
パソコンでクリップスタジオからラフ作成する。
画面に変化をつけたかったので、手をどうにかして入れたかった。
最初の2案では、手袋をつけなおしているイメージ。
アップ案を採用。
手袋を直すしぐさはこの角度だと入れづらい気がして、手にアイテム持たせる。
冬なんで、貴族階級のこの人なら杖くらいは持っているかなと。
杖の形にも迷う。持ち手が曲がってるバージョンは傘に見えたので、丸い持ち手に。
線画を作成。この人、角生えてるんです。
着色計画。
髪が暗い青+差し色でピンクなので、結構色に迷う。
コートは緑で固まったけど、マフラーの色は最後まで迷う。
ところで今回のポイントは、このマフラーの柄をあらかじめデジタルで作ったこと。
少し前に顔料プリンターを購入したところ、デジタルで作成した画像を
プリンター出力してアナログ着色用の線画に使えるようになったため
「これは表現の幅が広がるのでは?」とあれこれ実験してまして。
その一つが、デジタルの素材をアナログ絵に使うこと。
最初に試したイラストがこれ。今回の1か月前に作成しました。
背景を埋めてるバラの画像と、コートのすそ模様にクリスタのブラシ素材を使っています。
デジタル以前から、コピックを使ってる人だと
線画を原画から厚紙にコピーして使うケースがあり
その時に漫画用スクリーントーンを張り込んでからコピーさせることで
手書きでは難しい模様が簡単に張り込める、という技法があるんですね。
それを透明水彩でもできないかな~と思っていての実験です。
この時は背景のバラ素材はいい感じに馴染んだと思ったんですが、
コートの裾模様は着色するとほぼ目立たなくなったためちょっともったいなかったなと。
これを踏まえてリベンジしたのが今回のイラストです。
作成した線画を水彩紙にプリントし、一晩乾かして着色へ。
着色
塗りの過程はあんまり残してなかった…。
色が決まってるか所をまず塗る。
コートは分厚くて重たいフェルト製のイメージで、
「触るとフェルト特有のざらつきがある」が感じられるといいなと思い。
分離色のハルモニア「ダークネスサンド」と、シュミンケ「フォレストブラウン」の組み合わせ。
色が分離するうえに、ざらついたテクスチャが容易に出せて
複雑な色味とテクスチャにできたかな~とちょっと嬉しい。
手袋はなめした革製のイメージだったので、テカリを意識して塗る。
使用したのはミジェロ「シャドウバイオレット」で、これも紺色の中に赤が滲む分離色だけど
他メーカーとはテクスチャが異なり、かなり滑らかでインクっぽい。
さまざまな分離色。
マフラーの色をピンク~紫くらいに決める。
耐水性インクを使っているので、色を塗っても模様が消えずに薄っすら見える。
杖や裾のボタンも塗る。質感を意識して影やハイライトを決める。
コートにも薄い茶色を塗って、全体の色調をまとめました。
背景どうしようかなーと迷って、色鉛筆で薄いバラを描くも、
間違えて水彩色鉛筆を使ってしまって線が消える。塗った後にまた描き起こす。
色鉛筆で全体にハッチングをいれる……と、マフラーの模様が見えづらくなる……。
模様を描きたかったわけではなく、
マフラーとそれ以外とで質感の違いがわかればいいのだ、と納得して仕上げる。
全く模様がない場合よりは画面に変化が生まれている、と思うことにする。
乾かしてスキャンして完了。
振り返り
- デジタル素材を使った模様入れ、手作業だと面倒な部分がアウトソーシングされてよい
- 模様自体が濃かったり印象が強すぎると、あとで修正がしづらく画面から浮く気がする。「よくみるとあるな」くらいの塩梅で使うと良い気がする。
- 仕上りで地味になるくらいがいい。
- 分離色良き~。作画の最中にエンターテイメント性が生まれる。
- 分離色好き~。
- 水彩色鉛筆は他と分けておこう。
以上でーす。