この絵の作画の過程と考えてたことをメモしていきます。
基本情報
- 概要
- 漫画「星旅少年」の505
- イラストリクエストで作成
- 主な使用画材
- 透明水彩
- セザンヌ紙
- クリップスタジオ(ラフ作成)
- インクジェットプリンター(下絵出力)
作画過程
不勉強なことにリクエストいただくまで存じ上げない作品だったため
まずはこの機会に原作かって読みました。
最高~~~~~~~。
調査員を名乗る少年が降り立ち、静かに眠りつつある惑星に、それでも残された人々の営みを静かに記録する…という世界観がすでに大勝利。
そこに主人公303の謎めいた存在感と、面倒見役の505の視線が絡み合うドラマもぐっとくる。絵本のような筆致と、青の効いた絵作りも相まって、枕元に置いておきたくなるような素敵な本です。
今回のリクエストはあらかじめ
「2名以上の名前があったらランダムで1名だけ描く」という条件付きだっため
サイコロ振って505を描くことにしました。
ラフ~線画作成
作中、かなりきちんと着替えたり髪型を変えるタイプの作品のため
どこを切り取ろうかなあとまず迷う。
一番スタンダードな姿に近いのかな?と思った4話を選択。
4話の姿ならドーナツいるじゃろうと食べてる姿に。
束ねた髪がもしゃっとしてるの良いよね。
色ラフ。
よくよく考えたら505にはフルカラー資料がなかった件。
作品内演出のオマージュということで「青ベースのモノクロ画面」にできたらいいなと。
暗い夜空の下で、仕事帰りにドーナツ食べてるようなそういう。
着色
実は色塗りが結構難航した作品でした。
まず1回目。いつものように線画を水彩紙にプリントして着色開始。
全体にベースとなる青を塗って滲みで変化を出す
……だけど、滲みやバックランが制御できず
侵食してほしくないところに色が載ってしまったので没。
2回目、別の紙にプリントを試みるも、プリンターと相性が悪くさっぱり印刷できない。
(基本的に、家庭用プリンターは水彩紙のような
分厚いぼこぼこした紙への印刷は想定してない。この使用方法は自己責任!)
そこまで複雑な線画でもないので、別紙に印刷してトレース台を使って線画作成。
なんとか塗りまでいくけどこれも下地の風合いが微妙で没。写真も撮ってなかった。
3回目。今までの失敗を振り返ると、
あまり使ったことない紙を使って制御しきれなかったため
「使いなれた紙を使う!」とセザンヌ紙を選択。
プリンターのインクがこの辺で切れたので、こちらもトレースして線画作る。
いい加減疲れてめちゃくちゃ慎重に塗り始める。
この辺まで塗っていけると踏んで続行。
今回は「ブルー色をメインで塗る」と決めてました。
最初に使った色は月光荘のプルシャンブルー。一色で豊かな色彩が出ます。
背景の下部にメープルカラー「そらいろ」、
上部の暗いところはマイメリブルー「インディゴ」。
暗さの違う色を合わせることで、暗い夜空の下で
街並みがぼんやり光ってる感じになるといいなと。
あと、青い風景の中、顔とドーナツをいい意味で浮かせるために暖色系に。
結構工程が飛んでしまった…。
人物の影に、シュミンケ「パリブルー」を重ねる。
インディゴを塗った夜空には、ミジェロ「シャドウバイオレット」を塗ってより深みを出す。
最後に星空を意識して、レンブラントの「インターフェレンスブルー」と「インターフェレンスバイオレット」を上から塗る。原画は角度によってキラキラします。
人物周りがひときわ赤く見えるのは、「シャドウバイオレット」に赤い顔料が含まれてるからかな?
他が寒色系なので、わずかな赤みが強調されて見えるのかも。
こういうのに行き当たると、絵を描くのは楽しいなあと思う。
紙やドーナツにホワイトを入れてアナログ作業は完了。
いつも通りスキャンしたら、キラキラ部分が一切画面に出なかったので
代わりにPC加工でキラキラ演出乗っける。くそう……。
振り返り
- 最初の紙選択と技法で失敗続きで時間を使ってしまった。
- チャレンジは必要だが「やったことない技法をやるなら、支持体は使い慣れたもの」か「使い慣れない支持体を使うなら、技法はやりなれたもの」とした方が安定する。
- 同じ色味の少し違う色たちを重ねて雰囲気出すのは、持ってる絵の具の違いも見えておもしろかった。ほかの色彩でもやってみたい。
- キラキラ絵の具がスキャンになるかどうかは期待するな。
以上でーす。